
虫刺されについて
半袖で過ごす夏になり、虫刺されのご相談が増えてきました。「ただの虫刺され」と思っている方も多いかと思いますが、実は虫刺されには色んな種類があり、症状もさまざまです。
そこで今回は、虫刺されの種類や皮膚科受診の目安についてお伝えします。
虫刺されの症状
虫刺されによる皮膚炎は、主に3つのタイプに分かれます。
① 針や牙などでの刺咬による物理的刺激で起きる炎症
② 皮膚に付着あるいは侵入した有毒物質による科学的刺激で起きる炎症
③ 刺咬や吸血などで皮膚に侵入した有毒物質や唾液腺物質によるアレルギー性炎症反応
代表的な症状は、痛み、赤み(発赤)、腫れ、かゆみ、水ぶくれなどです。
虫の種類や刺された人の体質によっては、「アレルギー反応により気分が悪くなる」「お腹が痛くなる」などの全身症状が現れることもあります。ひどい場合には、「意識障害」や「ショック症状」が起こることもあります。
実は、虫刺されによってまれに恐ろしい症状を引き起こすこともあり、決して侮ることはできないものです。
原因になる虫は?
▼皮膚炎を引き起こす原因となる主な虫
昆虫類:カ、ブユ、アブ、ノミ、トコジラミ、ハチ、ケムシ
昆虫以外の節足動物:ダニ、クモ、ムカデ
中でも最近ご相談の多い「蚊」「ブユ」「ハチ」の虫刺されについて解説していきます。
蚊
特徴
都内では10月頃までアカイエカやヒトスジシマカなどのが多くみられます。
アカイエカは夜間に吸血する性質があるので睡眠中に刺されやすいです。
トスジシマカは、公園や雑木林、草の茂みなどに生殖しており昼間に刺されることが多いです。
症状
小児は、強い腫脹や水疱。
刺された当日~2日後に、痒みを伴う紅斑と丘疹、膨疹
治療
症状が軽い場合は自然軽快を待つ。
炎症が強い場合はステロイド外用薬を使用。
ブユ
特徴
都内では4月から10月にかけて多く見られる。特に夏に高原や川沿いのレジャーに行かれた際など、朝夕や雲天時に多数のブユに吸血されます。
症状
吸血中は、自覚症状がなく、小出血点のみ。
刺された翌日に強い腫脹、痒みが長引く
治療
軽度であれば、ステロイド外用薬を使用。
腫脹を伴う強い炎症の場合はステロイド内服薬を併用。
ハチ
特徴
夏~秋にハチの活動が活発になり、攻撃性が高まります。香水やヘアスプレーなどの香りはハチを刺激することがあるので、野外レジャーの際には注意が必要です。
症状
激しい痛み、赤く腫れる
※初めて刺された場合、通常1日以内に治まります。
※2回目以降の場合、ハチ毒に対するアレルギー反応の症状が加わります。刺された直後から蕁麻疹を生じたり、刺されて1~2日で強い発赤や腫れを生じたりします。
ひどい場合は刺されて30分~1時間で呼吸困難、腹痛、意識消失や血圧低下などを生じて、死に至ることがあります。これはアナフィラキシーショックと呼ばれる症状です。
治療
軽度であれば、ステロイド外用薬を使用。
腫脹を伴う強い炎症の場合はステロイド内服薬を併用。
対策
ハチに刺されないようにすることが重要です。ハチを刺激したり巣に近付かないようにしましょう。
ハチに刺された場合
刺された場所を水で流し、安全な場所で静かに横になって、できれば局所を冷やしてください。蕁麻疹や腹痛、気分不良などの症状ある場合、直ちに救急車を呼んでください。特に全身症状もなく、元気な様子であれば心配いりませんが、あとで腫れてくる場合もありますので、その場合は受診しましょう。
ハチに刺されたことがある場合
ハチに刺されたことがある方は、緊急時に使用する「エピペン」というアドレナリン自己注射薬を携帯しておくことができます。エピペンを処方するには、専門の登録医の診察を受ける必要があります。(当院も処方できます)
虫刺されでお困りの方へ
小さいお子様は、大人に比べ症状が強く出ます。早期でお薬を使用することにより、悪化させずに治すことができますので、早めのご受診が大切です。
ステロイドの外用薬は部位や症状により使用できるランクが変わりますので、自己判断で使用せずご相談くださいね。