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ニキビ治療の漢方薬について
当院で1番お悩みの多いニキビ。治療の1つである「漢方薬」のご相談を受けることも増えてきました。
今回は、ニキビの状態や体質に合わせて4種類の漢方薬をご紹介します。
漢方薬の使い方
漢方薬は、皮膚表面の症状だけでなく、皮膚以外の原因を根本的に改善していくものという考え方があります。そのため、個人の体質や症状によって使い分けます。
ニキビ治療のガイドラインで推奨される漢方薬
ニキビ治療のガイドラインで推奨される漢方薬は、以下の通りです。
「炎症性皮疹」に対して
推奨度C1 荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯
推奨度C2 黄連解毒湯、温清飲、温経湯、桂枝茯苓丸
「面皰」に対して
推奨度C1 荊芥連翹湯
推奨度C2 黄連解毒湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸
ただし、推奨の根拠となった試験は、いずれも「抗菌薬との併用」です。
ニキビでよく処方される4種類の漢方薬
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
「初期のニキビ」など、分泌物が少ないニキビに。
炎症反応が比較的弱く、膿を持ったニキビが散発的にみられる場合におすすめです。
10種類の生薬が配合されているため「十味」と言います。「皮膚に溜まっている膿を排毒させる」という意味から、十味敗毒湯と呼ばれています。抗酸化作用、炎症応答抑制作用、皮脂合成抑制作用、エストロゲン様作用があり、体力中程度の方に適応の漢方です。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
炎症が起こりやすく、「症状が慢性化」しやすいニキビに。
全身に栄養分を運ぶ血が不足して流れが滞ると、患部に十分な栄養がめぐらずに、化膿したり、慢性化したります。荊芥連翹湯は、「体の熱を冷まし」「血を補い、めぐらせる」ことで、炎症を抑え繰り返すにきびを改善します。
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
「赤いニキビ」、脂性肌で皮膚トラブルが起こりやすい方、赤ら顔の方に。
清上防風湯は、上半身にこもった熱を冷まして赤みを抑えるともに、膿(うみ)を排出することで、赤いにきびなどの皮膚トラブルを改善していく漢方です。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんよくいにん)
「月経周期で悪化するニキビ」や皮膚の乾燥、シミやソバカスがある方に。
ピルや抗血栓薬内服中で、シミ治療に用いるトラネキサム酸が内服できない方にもおすすめです。
「桂枝茯苓丸」に「薏苡仁(よくいにん)」が加わった処方です。肩こり、頭重(ずじゅう)、めまい、のぼせ気味だけど足は冷えるなどの症状がある人の月経不順、ニキビ、しみ、手足の荒れなどに用いられます。
ニキビでお悩みの方へ
当院では、過酸化ベンゾイル、アダパレン、抗菌薬を用いた保険治療を中心に治療していますが、経過やご希望により漢方薬も処方しています。また、ニキビ跡でお悩みの方には自費診療のご案内も可能です。ニキビ跡は治療に時間がかかるため、まず大切なことは悪化させない、長引かせないことです。軽症でも、ニキビでお悩みの方は1度ご相談くださいね。